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暗い暗い森の中。
そこで「ガナッシュ~! 待ってよ~!」という風の少女の声が響き渡る。


「何だ、ついて来たのか」
そんな少女―キャンディを見て、溜息をつくガナッシュ。
「だって、放っておくとどんどん先にいっちゃうんだからぁ!」
ホントだヌ~、と後ろからカベルネが追いかけてきた。
「全く冷たい男ヌ~。 きっと俺の兄貴もこうやって捨てられたんだヌ~」
その言葉にキャンディは悲鳴を上げる。
「カベルネのお兄さんとガナッシュって、もしかしてお付き合いしてたの~っ!?」
その言葉に唾が気管に入ったのかガナッシュは咳き込む。
「違うヌ~!! それじゃ、ただのホモだヌ~! オイラの兄貴とガナッシュの姉ちゃんが付き合ってたヌ~!」
「姉は姉で、俺は俺だ。 関係ない」
ふい、とそっぽを向くガナッシュだったが、先程の言われもない衝撃をまだ引きずっているようで、顔を赤らめながら言った。
「ガナッシュのお姉さんって、凄い美人なんだよね? 何度か会ったことあるよ」
「美人でもさっさと行ってしまうのは二人とも同じヌ~」
のほほん、とオリーブとカベルネが言う中。
キャンディは「そんなことが聞きたいわけじゃないのよ!」と腹を立てた。
「問題はこれから私達がどうするかよ!」
「考えてるよ。 俺なりにね」
ガナッシュのその言葉にキャンディは胸を撫で下ろした。
「良かった。 「エニグマを全滅させてからだ」…とか言われたらどうしようかと思っちゃった」
「いいヌ~いいヌ~。 エニグマ全滅やってみたいヌ~」
「何を言ってるのよ! 出来る訳ないじゃない! 今でもギリギリで勝ってきたのよ! 偶然なのよ、偶然!」
(皆、こんな調子だから…シードルは…)と、考えながらオリーブは後ろを振り向いた。
ニャムネルトの村に一人置いてきたシードル。否、自己判断をして村に残ったのだ。
そんなオリーブの不安気な心とは対照的に、立ち話はエスカレートしていく。
「俺の兄貴の命を奪った一年前の事故…。 今思えば事故でもなんでもないヌ~。 殺されたんだヌ~」
「殺された? 何よそれ。 変な事ばっかり言わないでよ!」
「トップシークレットになってるから、知ってる人は数少ないヌ~。 兄貴の亡骸を引き取った時、うすうす感じていたんだけど、事故の怪我じゃないヌ~!」
カベルネはぐっと拳を握り締める。
「相手はエニグマに間違いないヌ~! エニグマと戦って、命を落としたんだヌ~!」
仰天的なカベルネの発言に、キャンディは「まさか…!」と少し大きめの声を出す。
「でも、だからと言ってここでお兄さんの敵でも取るの?! 冗談じゃないわ。 こっちの命がいくらあっても足りやしないわよ!」
「力を合わせれば絶対倒せるヌ~!!」
「駄目よ…勝てやしない。 相手は暗闇のように戦っても数は減ってないじゃない。 そんなの勝ちとは言わないわ」
冷静に不安気にオリーブはカベルネの発言に異を唱える。
「もう、その話はやめて、帰ろうよ。 元の世界に」
ガナッシュはそう言うと暗黒の只中にいる森を見つめる。
「エニグマはプレーン間を自由に行き来してるだろ? 奴らを利用できれば帰れるんじゃないか?」
そう言い、すたすたと歩いていってしまうガナッシュ。
「えっ! そんなことできるの~!?」とキャンディはガナッシュを追いかける。
不安気にオリーブも追いかけるが、カベルネは不審に思いながら暗黒の森へと入っていく。

ざわりざわりと静かにうねる森は、来るものを拒むことはない。
だが、去るものは限りなく拒むことが出来るほどの魔力を纏った森。


拒む森はただ己の為に


ガナッシュ組がエニグマの森に入った同時刻。
マサラティ村に戻ってきた4人は急いでシナモンの家―村長の家に入った。
そこには元気そうなシナモンの姿。
「あら、お久しぶり。 近頃、お父様が家から出してくれなくて…―」
困ってるんです、とシナモンが言おうとした刹那。
シナモンのおでこに手をあてるリク。
「熱は出てないようだね。 やっぱりシナモンはウーズ熱じゃなかったんだ」
「だろ? だからこそ、メースを追い払ってお前を誘う為の奴の計画でしかなかったんだよ」
未だに理解が出来ていないリクに、親切にカシスは溜息をつきながら言った。
「何…? 何のこと?」
はっと何かを思い出して後ろを振り向くシナモン。
そこには父であり、ヴォークスの指導者のジンジャーの姿があった。
「お父様!! 一体どういうこと!? 私がここにいた間に、何が起こったの!? 説明して!!」
「私もくわしくは知らされていない。 ただ一つだけ言えるのは…メースという男は、ほかの誰より勇気を持っていたということだ。 すまない…。 こんな出来ない父親で許してくれ…」
「分からないわよ! なんなの、それ!! そんな説明じゃ、何も分からない!!」
シナモンはそう言うと、バタンと扉を閉めて外に出て行ってしまった。
「ということは、やっぱり厄介払いしたんだね」
リクは冷静にジンジャーに話す。
「私だって辛いさ…。 エニグマに操られようが操られていないようが、この村の大人達はメースやシナモン程に心が大人になりきっていない。 今もこれからもメースがこの村にいても何も良いことはないだろう」
ジンジャーは懐から何かを取り出す。
それは何やらちゃりん、と中に金属物が入っている巾着袋のようだ。
「旅の人…。 シナモンはきっと、村はずれのメースの家に向かった筈。 もし、あの娘がメースの後を追うと言い出したら、これを渡してくれ…」
巾着袋をリクに渡すが、リクはじっとジンジャーを見つめ続けている。
「金の問題じゃないだろ? 分かってんのか、オッサン。 自分の娘が、一生誰かを恨んだまま生きていくなんて、耐えられるかい?」
「…分かってるとも。 私はシナモンの父親だ…。 旅の人が思うところは、痛いほど分かるとも…」
「行こうぜ。 もういいよ…」
カシスはそういうと、他3人を連れて外に出て行く。
が、リクは後ろを振り返り、溜息をついているジンジャーに対して言った。
「娘より村が大事でも、娘は放っておくことにしても、村の人たちのためにも、なによりメースとシナモンの為にも、メース本人とメースの親たちの理解を村全体でしないと、また同じ事が起きても僕は知らないよ」

メースの家はじめじめとした森の中にあった。
誰も近寄らなく、誰も行こうとはしないまるで牢獄のような雰囲気。
そのメースの家に、きょろりと家主を探すシナモンの姿があった。
「いないわ。 何処に行ったの、メース…。 いつ戻ってくるの…?」
「多分、メースは戻ってこないと思うよ」
シナモンの後ろからリクの声が響き渡る。
見たことがある人物達にメースはせがんだ。
「聞かせて! 何もかも聞かせて! 彼は生きてるの!? 何処へ行ったの!?」
それに対し、リク達は今までの事を全て話した。
俯きながら聞いているシナモンに対し、先程長老から受け取った巾着袋をシナモンに渡す。
それを握り締めたシナモンは「私…行きます」と、呟いた。
そして俯いていた身体をぴんと真っ直ぐにあげて、「皆さんお気遣いありがとうございます」とはっきりとした口調で言った。
「機会があったら、また…―」
お会いしましょう、とシナモンが言おうとした刹那。
「でも闇のプレーンを女の子が一人旅するのは厳しくない?」
リクの優し気な意見に、同感とカフェオレが話してくる。
「マッタクダゼ ベイベー! キック・マイ・アッス! ヤリキレネェキブンダゼ」
「どうするもこうするも。 本人が望んでんだから、しょうがねぇじゃん」
カシスはそう言い、にこりと微笑んでシナモンを見つめる。
「アンタが本気ならもう止めはしないぜ。 Good Luck! 死ぬなよ、シナモン!」
カシスの応援にシナモンは「はい!」と明るい口調で返した。
「メースが私の為に命をかけてくれたように、私も彼を捜すために命をかけてみる。 私は彼に…ん~ん。 彼だけじゃなくて、マサラティ村の人にも本音を全部ぶつけていきたいの。 彼は悪魔なんかじゃないって全身全霊をかけて言いたい…!」
そういうと、シナモンは出口に向かって歩いていった。
が、それをリクは「ちょっと待った!」と止めに入る。
「おいおい、リクさんよ。 彼女が望むことすらやらせてくれないのかい?」
「だ・か・ら! シナモンはどっち方面に行くのかって」
ぱらりと魔法地図を取り出すリク。
「僕達と同じ方面なら、途中までそこまで行こうよ。 息巻いているのは分かるけどさ、冒険って結構冷静に見ながらいかないと上手くいかないと思うんだ」
「全くだっぴ。 旅は厳しいんだっぴ」
うんうん、と頷くピスタチオ。
「とりあえず、僕らは今から船で南に渡ってニャムネルトの村を目指す。 そこからエニグマの森へと行くから、とりあえずその村まで」
「はい。 ありがとうございます」
ぺこり、とシナモンがリクの気遣いに頭を下げる中。
「や…やっぱり行くんだっぴか…」
溜息をついているピスタチオの姿が垣間見えた。

 

そんなニャムネルトの村―タピオカティ村では辺りを見渡す少年の姿があった。
警戒しているのではない。慎重にその経緯を見つめているのだ。
そして少女の呻く声が聞こえた。
少年はその一部始終を見てみることにした。
「飲み難いかも知れないが、我慢してくれ。 それを三十日も続ければ、病気も治る筈だ」
「うん…。 明日もその次も飲むの…?」
「ああ、そうだ。 かなり病が進行している。 一日でも欠かすとあぶない」
「でも…なんだか凄く嫌な味…。 苦くも辛くもないけど…胸につかえるような凄く悲しくなる味…」
「後ひと月の辛抱じゃないか。 病気が治ったら、上手いものを沢山食べよう。 肉でも、果物でも、ケーキでも」
「…んーん…。 何も食べたくない…」
「今は身体が何も受け付けないだけなんだ。 来月になれば、何か食べたくなるさ」
「そう…かな…」
不安げな少女の声を聞き、少年は見るのをやめる。
そして、何も音が立たない家を見つめた。
(僕の考えすぎじゃなければ良いけど…)
物事が動かなければ、己も動けない。
それを心の奥底で苛立ちながらも、仕方なくいつもの宿屋に戻っていくのであった。

 

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