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ぴぃぴぃと鳴く何百匹の文鳥を呆然とリクは見ていた。
タピオカティ村の前でシナモンと別れた一行はエニグマの森の入口と思われる場所についたのだが…。
「おいおい…これじゃあ行けれねぇぞ…」
リクは座り込んでぴぃぴぃと鳴く文鳥の頭を撫でた。
動物好きでもあるリクのいつもの行動だが…なにか不自然に感じたカシスは、「おい…リク…」とリクの肩に触れた。
刹那、リクはびくりと身体を震わせ、カシスを睨みつけた。
いつもなら、穏便に微笑みながら「なぁに?」と可愛げにアピールしながら話しかけてくる筈なのに。
全く違うリクの豹変さに、カシスは驚いた。
そんな驚愕しているカシスを見て、当の本人は「…え…なに?」と、呆然としている。
「いや…なんでもないが…。 一度村に戻って、対策を立てようぜ」
「うん、そうだね」
リクは先頭に立って、村のある方向へと歩いていく。
カシスは先程のリクの行動に疑問を感じながらリクを追いかけていった。

それこそが、リクの身体の「異変」となり、それが原因で「離別」することになるとは、友人であるカシスでさえ考えていないことだった。

 



ニャムネルト族が住むタピオカティ村は砂漠と森が重なる丁度麓にあった。
東はエニグマのテリトリーである森があり、南西には砂漠が広がっている。
闇のプレーン中のあらゆるモノがそこに集まっている。
そこに見たことがある顔の人が現れた。
「シードル!?」
「シードルだ!! 無事だったの!?」
二人の友人のカシスとリクにそう言われ、シードルは苦い顔をする。
「なんとか生き長らえてるみたいじゃねぇか! ところで、お前一人か? 他の連中と一緒じゃなかったのか」
苦い顔をしたシードルは周囲を見渡し、「そんなに大声で喋らないでよ…。 皆見てるからさぁ」と呟いた。
「ハズカシガッテル バアイジャ ネェダロ! ホカノミンナハ イッショジャ ナイノカッテ キイテンダ!」
「他の連中って、ガナッシュやオリーブ達のこと? 彼らだったらエニグマの森に行くってさ」
その話題が嫌だったのか、シードルは腹立ちながら言う。
「自惚れてるのさ、彼ら。 きっと、エニグマと戦っても勝てるつもりなんだ。 やってられないよ!」
うーん、とリクは唸った。
「やってられないとは言ってもね…。 皆、エニグマに拉致されてこっちに来てる訳だし。 皆を探すとなるとエニグマの森へ向かわざるを得ないんじゃないのかな?」
リクの言葉にシードルはぽつりと呟く。
「皆…ボクのママと同じように死ねばいいんだ…」
その言葉にカシスは首をかしげた。
「ボクとママとで、パナシェ山に芸術祭の準備に行った時…ママが氷の彫刻に熱中しているうちに、外は吹雪になったんだ。 吹雪はそれから4日間も続いて、食べるものもなくなった。 ママは助けを呼びに行くって行ったっきり…そのまま二度と戻らなかった。 その次の日に救助隊の人が来てボクは町へ帰ったけど、ママは帰って来なかった」
その話にいつもニヒルで五月蝿いカフェオレも無言になった。
「でも、今の僕達は助けを待つ身じゃないでしょ?」
リクが優しくそう言っても、シードルは振り返ることもなかった。
そして、そのまま町の中へと消えていってしまった。
「アイツ…友達がどうなったって良いってのか…?」
カシスは神妙な顔で呟く。
リクはそれに対して微笑んだ。
「信じようよ、シードルを。 シードルだってこのままでいいとは考えてない筈だ」
「お前は優しいなぁ…リク。 俺なら蹴飛ばして立ち直らせるけどな」
「暴力的だなぁ…君は」
くすくすとリクは微笑んだ。
刹那、奇妙な獣が道を通っていく。
その獣に向かって「仕事だよ、フェンネル。 おいで」と言う声が聞こえた。
それは先程文鳥達に遮られていたエニグマの森の入口から聞こえる。
その常識とは思えない一村人の行動にリクは何かを閃かせた。
「もしかして…あの獣で文鳥を驚かせるんじゃないの?」
「もしそうなら、ちょっとついていってみるか?」
このまま村で聞き込み続けていても、情報がないなら、ただ単に時間が過ぎていくだけになる。
カシスの提案にこくりとリクは頷いた。
「シードルはどうするっぴ?」
先程のやり取りがあった為か、カシスは苦笑する。
「アイツはなぁ…」
「まぁ、文鳥の件について解決したら、また村へ戻ってこれば良いと思うんだ。 二度手間になるけど」

フェンネルという獣とそれの使いの青年が入っていったのはエニグマの森の文鳥ではなく、エニグマの森の入口近くに生る密林の密集地だった。
「うーん…僕の考えが違ったみたい…」
「ダッタラ アノセイネンカラ ブンチョウタチヲ ドカスホウホウヲ キキダセバ イイッテコトジャネ?」
「賛成だっぴ!」
「そういうこった。 追いかけてみようぜ」
リク達は見たこともない不思議な形をした草々に囲まれつつも、獣と青年を追っていく。
次第に何か、鳥のような悪臭が漂う広間へと辿り着いた。
「ドードードリダ~ イッパイオルノ~」
「ひゃ~…鳥臭ぇ…」
「酷い臭いっぴ! 鼻がもげるっぴ!」
「逆にこんなにも自然が溢れていると、自然の中で生きているというより、生き方の中に自然があるって感じがするね」
ドードー鳥がわらわらと集まるのを見て、4人共々個々の感想を言った。
刹那。
「何者だ!!」という甲高い声が聞こえてきた。
そこには先程の青年と獣、そしてどーどー鳥を庇っている別の少年が言い争っている姿があった。
「それはこっちの台詞さ。 君こそ村では見かけない顔じゃないか。 君は誰だ? こんな所で何をしているんだい?」
「俺はネクター。 この地底ジャングルを守っている。 用が無いなら帰れ!」
「残念ながら、そんなことは出来ないんだよ!」
がさりと出てきたのは、4人全員が見たこともある顔見知りだった。
「セサミ…!?」
そんな虫使いは4人を無視して、獣に指示を出す。
「行け! フェンネル! 全部捕まえるんだ!!」
フェンネルはその指示に従うかのように唸り声を上げ、どーどー鳥に襲い掛かっていく。
途端にどーどー鳥は混乱状態になり、悲鳴をあげた。
「最近、どーどーを盗りまくっていたのはお前達か!」
「知らねぇよ、そんなの。 オレは命を助けてもらった人の為にやってんだ」
セサミはそう言うと、フェンネルと共にどーどー鳥の捕獲をし始めた。
刹那、巨大な薔薇が咲き誇る。
「!!」
その薔薇の棘にやられたのか、フェンネルは悲鳴を上げ、密林の中へと逃げ出していった。
個性溢れる芸術的な魔法をリクとカシスは何度も見ている。
微笑みながらやってきたのは文字通り、友人だった。
「頼りにならない救助隊だなぁ。 そんなんじゃ、誰も助からないよ」
その言葉にカシスは微笑んだ。
「よう、シードル。 村を出て冒険でもしてみる気になったかい?」
その微笑みに、友人シードルも微笑む。
「このままママを助けに行けば助けられる。 でも、もうママは何処にもいないけど…ね」
「助けるべき人は幾らでもいるよ。 その為に村に残ったんでしょ?」
リクの言葉にシードルは微笑みながら「その通り」と言い、後ろを振り向いた。
悲鳴を上げながら「ムスク兄さん! どーどーを苛めちゃ駄目!!」と後ろから走ってきたのはニャムネルトの少女だった。
「ココア! どうして…」
刹那、どーどー鳥を守っていたネクターが悲鳴を上げた。
そのどーどー鳥から大量の血が溢れ出ている。
「兄さん!! 大丈夫かい!? しっかりして!! 返事をしてよ!! 起きて!!」
呆然とその場にいる全員がその少年を見つめる。
そしてムスクが震えた声で「少年…そのどーどー鳥は…」と言った。
「どーどー鳥じゃない! オレの兄さんさ! エニグマの呪いでどーどー鳥になってるけど、千年後には元に戻るんだ!」
その強烈な真実に、カシスは頭を押さえながら「マジかよ…」と呟いた。
ムスクは顔を横に振る。
「すまない…知らなかったんだ…。 妹の呪いを解く為にはどうしてもどーどーの血が必要だった。 森で助けたセサミ君を使って、ここのどーどーを盗らせていたんだ。 いや、知っていた所で…千年後!? 千年後に戻るって!?」
その事実を何度も言い、ムスクは怒り叫んだ。
「千年なんて待てるもんか! オレが殺さなくたって、他の奴が殺して薬にしてしまうだけだろ! だったらお前の兄だろうが関係ない! どーどーはどーどーだ! オレの妹の呪いを解く為に捕まえて、殺して、薬にして、何が悪いんだ!」
怒りで拳を握り締める兄に対し、ココアは「もういいの!」と負けずに叫んだ。
「無駄なのよ…もう…」
そう言い、袖をまくる。
そこにはニャムネルトの肌とは程遠い、灰色の羽のようなものが生えている。
「腕だけじゃないの…。 胸やお腹…足にも…」
衝撃の光景に全員が息を呑む。
それとは裏腹にココアは決心した瞳で「私、どーどーになっちゃうの」とはっきりとした口調で言った。
「だからネクターさん。 お願いします。 私をここにおいて下さい! どーどーになってしまうのはもう止めようがないでしょ? だったら、村にいるよりここにいたほうが安全だと思うの!」
妹の決意にムスクは溜息をついた。
「確かにここは、どーどーにとっては安全な場所だ。 だが、私は良くても彼が…」
ムスクは振り向き、ネクターは神妙な面持ちで頷いた。
「オレは構わない。 だけど、あんたはもう二度とここに来ないでくれ」
そう言い、ネクターは死んでしまった鳥の骸を抱きしめた。
刹那。奇妙なことにほのかに暖かみを感じる。
とくんとくんと微量だが音もした。
それに気付いたリクはネクターに「見せて」と言い寄った。
愛の精霊を複数呼び出し回復魔法を唱えてみる。
半目で瀕死状態だった鳥は見る見るうちにいつもの凛々しい瞳になっていく。
そしてなんとか起き上がった。
それを見たココアとネクターは飛び跳ねて「生き…かえった!!」「兄さんが生きてたー!!」とひたすら密林が響き渡るほどに喜びの声をあげた。
それを見て、ムスクは「良かった…」と溜息をついた。
そして密林の出口まで消えていってしまった。
治療を終えたリクは「まだ生きてて良かったねぇ」と、清々しい顔で遠くから見ていたパーティーの元へと歩いてきた。
「ホントダゼ ヤレヤレダゼ」
「生きてるって素晴しいっぴ!」
「まぁ、それはそうだけど青年が可哀相だなって思うぜ」
「仕方ないよ…。 どーどーを大量に狩っていたのは事実なんだから」
5人はそう言い、一件落着した光景を遠巻きに見ていた。
密林の風が優しく、その光景を祝福しているかのように。

「ふざけんなー!! オレの事はまた知らん振りかよ!!」
その光景に完全に忘れ去られていたセサミは叫ぶ。
そんな虫少年に対し、カシスは溜息をついた。
「やって良い事と悪い事があるんだぜ、セサミ。 ちゃんと分かってるのか?」
「ムスクさんは、オレがエニグマに追い回されてる時に助けてくれたんだ!! オマエら、オレがエニグマに連れていかれた時…何もしてくれなかったじゃないかー!」
「誰かを頼りにするのはセサミの悪い癖だと思うけど」
リクもカシス同様、溜息をつきながらセサミを見つめ続けた。
「セサミの目は、虫の目なんだよ。 周りの事なんて、何も見えてないのさ」
シードルの言葉にセサミは「虫を馬鹿にするなぁ!!」と言って怒り狂った。
「虫を馬鹿にしたんじゃないの! 君を馬鹿にしたの!」
日が沈むまで言い争いそうなので、カシスはセサミを宥めながら「セサミも一人でいるのは懲りただろ?」と言った、が。
「うるさーーーい!! お前らなんか、エニグマと融合して捻りつぶしてやるーー!!」
セサミはそう言い、その場から走り去って行ってしまった。
逃げ足だけは速いのか、カシスが止めようとする間もなかった。
「シードル、サッキノハ イイスギダッタナ」
「つい思ってること…全部言っちゃった。 まずかったな…」
酷く後悔しているシードルに、ぽん とリクは肩を叩く。
「仕方ないよ。 信じよう、セサミを」
「セサミ、本当にエニグマと融合するつもりかな?」
「分からねぇ。 とりあえず、文鳥の退かす方法をタピオカティ村に戻って、エニグマの森へ向かおう」
「文鳥の退かす方法なら、ボクが知ってるよ。 昨日、文鳥の鳴き真似が得意なヴォークスの少年に教えてもらったんだ」
「まじか! シードル」
「ヤッパリ シードルハ タノモシイナ、ウン」
カフェオレが頷くが、その隣にいるリクは別の考えをしていた。
「そのヴォークスの少年って…もしかしてメースかな」
「かも知れねぇな」
「シナモンと無事再会できていればいいけど…」
「でも、そんなことしていられないっぴ…!」
滅多にプラス思考な事を言わないピスタチオに、リクは微笑んだ。
「じゃあ行こうか。 エニグマの森へ!」
リクの言葉に4人共頷き、草々が茂っている密林を後にしたのだった。

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